№19 報専坊のイチョウ in ヒロシマ
約100年前、長男が生まれた記念に植えられた誕生木
被爆イチョウを守るように、本堂の設計が考えられています
A-bomebed Ginkgo tree in HIROSHIMA
▼爆心地からの距離:1,120m/広島市中区寺町3-3▼イチョウ科・落葉高木
▼樹齢100年以上
▼樹高:22m/幹周り:2.5m
【木の特ちょう―ヤケドあと、爆心地のほうへ傾斜】
お寺の本堂の前に堂々と立つイチョウ。黄金に染まる姿はとても優雅です。秋には銀杏をたくさん実らせるんですよ。被爆樹の特ちょうがよくわかる木です。幹にはウロがあり、樹皮が傷を癒そうと裂け目を覆っていますが、縦長の大きな亀裂が残ったままです。落葉した頃、訪れると、幹の様子がよくわかりますよ。爆心地のほうへ傾いているのも特ちょうです。2016年11月撮影
【被爆を伝える―木を守るための本堂設計】
このイチョウとともに伝え続けたいエピソードがあります。実はこのイチョウ、一時は伐られることが決まっていました。新しい本堂を再建するためです。すでに設計も決まり、イチョウを伐る計画が進んでいました。けれど、「子供の頃、この木の下で遊んだねえ」という声がちらほら。原爆症で苦しんでいた女性は「原爆から蘇った木がこんなに元気で立っているのを見ると、私も元気で生きていこうという気持ちになるんよ。伐らんでほしいねぇ」という声もあって、「イチョウを残そうや」と言う人々の意見が大きくなっていきました。何よりも、この木は前住職(現・坊守さんのお父様)が生まれた時の記念に植えられた誕生木でした。こうして、イチョウは伐らないで本堂を建てることとなり、"イチョウを守る"建築設計に考え直されたのです。写真をよく見てください。木の周囲を囲む階段、木の後方には風を通すための通気口、根元は土を残しました。根を守るため、木のそばへうっかり立ち入らないようなデザインなど工夫もされています。このお寺では、原爆を直接知る家族はほとんど亡くなられましたが、ご住職さんと奥様(坊守)が原爆の伝承を続けていらっしゃいます。被爆樹の1本1本に家族の思い出があり、「木を守る人、人の記憶を伝える人」がいることの尊さを伝えたいイチョウです。
【この木に会いに行こう!】
路面電車「別院前」から徒歩1分。原爆ドームから徒歩約20~30分。
≪DATA of A-Bombed Trees≫
Ginkgo tree/The Housenbou-temple
1120m from the hypocenter
botanical name:Ginkgo biloba
age:100 years old over
height:22m
surroundings:2.5m
address:3-3 Tera-machi Naka-ku,Hiroshima city
This tree survived the atomic bombing of Hiroshima, about 1120m from the hypocenter.The ginkgo tree is about100 years old. The tree is bent due to the atomic bombing. The trunk has scars. When the chief priest and his family rebuit the new main hall of the temple,they did not want to cut the ginkgo tree.Now the tree is standing in this spase created in the staircase that leads to the main entrance.There are openings for ventilation in the staircase.So the tree would not suffocate.Apr,2015 Shooting
★Let's go to see this tree !
20-30minutes walk from the A-bomb Dome. 1minute walk from the Betsuin-mae station.